特集2 ERスタンダード 外傷—非外傷医でも,ここまで迫れる! ここまでできる!
【Part 1】総論
1.“最近の常識”を押さえた外傷診療の基本—JATECプラスαの知識をもっておこう!
永嶋 太
1
Futoshi NAGASHIMA
1
1公立豊岡病院 但馬救命救急センター
pp.378-392
発行日 2024年1月25日
Published Date 2024/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200104
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日本では,外傷初期診療ガイドラインが作成されて約20年が経つ。標準化された外傷初期診療が普及し,生理学的評価と蘇生を最優先するABCDEアプローチは,現在では救急診療全般の基本となっている。そのなかで,ショックに対する蘇生は大きく変化してきた。初期輸液の量が制限され,重篤なショックの場合には,その初期輸液の反応をみずに,蘇生的な止血術と大量輸血療法を開始する。それとともに外傷死の三徴である凝固障害,低体温,アシドーシスといった生理学的異常に対する治療戦略が必要であり,その蘇生法をdamage control resuscitation(DCR)と呼ぶ。これを実践するには,ダメージコントロール戦略と外傷性凝固障害の理解が必要である。
そこで本稿では,“最近の常識”を押さえた外傷診療の基本として,特にprimary surveyと蘇生,および循環破綻の蘇生に必要なダメージコントロール戦略と外傷性凝固障害に対する対応について概説する。
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