特集 STI/HIV
Part 2 HIV
11.ART概論—「全例早期治療」「U=U」「PrEP」の時代
塚田 訓久
1
Kunihisa TSUKADA
1
1埼玉医科大学総合医療センター 感染症科・感染制御科
pp.945-956
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901219
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抗HIV療法(ART*1)によるウイルス抑制は,患者本人の生命予後の改善のみならず,新たな感染の抑制にもつながることが実証されており,すべてのHIV陽性者に対してARTを行うことが推奨されている。
ARTは多剤併用が原則であり,2024年現在,初回治療において推奨されている組み合わせは「第2世代インテグラーゼ阻害薬(1剤)+核酸系逆転写酵素阻害薬(1〜2剤)」である。現在では,治療に必要なすべての成分が1錠中に含まれる1日1回1錠の配合錠(STR*2)が主流となっているほか,連日の内服を必要としない2か月ごとの筋肉注射によるARTも登場している。
ARTの導入と管理は日本では専門家の役割であるが,ARTで安定しているHIV陽性者の合併症診療に非専門家がかかわる機会は今後さらに増加するものと予想される。ARTで安定している場合の鑑別診断や治療方針は,通常はHIV陰性の場合と同様であり,HIV感染症の主治医と連携しつつ普段どおりの診療を進めればよい。
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