特集 透析診療のすべて
Part 2 透析管理の基本と原則
9.透析患者への問診・診察—ルーチンで押さえておくべきポイント
増田 陽平
1
,
三宅 晃弘
2
,
江原 淳
1
Yohei MASUDA
1
,
Akihiro MIYAKE
2
,
Jun EHARA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
2東京ベイ・浦安市川医療センター 腎臓・内分泌・糖尿病内科
pp.359-367
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901138
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慢性透析患者は,2021年の調査によると患者数349,700人,平均年齢69.67歳と,年々増加ならびに高齢化の一途をたどっている1)。これは多併存疾患による病態の複合化を意味しており,透析の専門医のみならず非専門医もさまざまなセッティングで透析患者の診療にかかわる必要がある。
米国のレジストリ研究では,透析患者はプライマリ・ケア外来を年間平均4.5回受診しており,受診回数の多い患者群はより高齢・重症で,多くの医療介入を要していた2)。また,透析を行う医療施設を対象とした米国のアンケート調査では,透析患者には疼痛,性腺機能障害,うつなどの症状がよくみられるが,透析施設ではそれらの症状に対する十分なケアが行えておらず,プライマリ・ケア医などの非透析専門医に,そうした症状の治療を行ってほしいとの回答がみられた3)。
透析患者には,外来,入院主訴に対する一般的な診察に加え,透析条件の確認や併存症,合併症などの病歴聴取,バスキュラーアクセス(VA)の診察などの,透析患者という特殊な患者群であることを意識した診察を要する。
本稿では,一般内科医や総合内科医などの非透析専門医が透析患者の診療にあたることを想定し,救急外来を受診した3症例,入院中に担当した1症例を通して,ルーチンで押さえておくべき病歴聴取,身体診察のポイントを概説する。
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