特集 透析診療のすべて
Part 3 透析診療におけるトラブルシューティングと合併症管理
16.血液透析患者が感染症を疑う症状で受診したら—免疫不全患者でもあることを念頭に
三宅 晃弘
1
,
織田 錬太郎
2
Akihiro MIYAKE
1
,
Rentaro ODA
2
1東京ベイ・浦安市川医療センター 腎臓・内分泌・糖尿病内科
2東京都立多摩総合医療センター 感染症内科
pp.451-460
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901152
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血液透析患者における感染症は,生命に直結する重要な合併症である。2021年における36,156人の透析患者の死亡原因のうち,感染症による死亡は22.0%で,心不全の22.4%に次いで多く,1993年以降増加傾向にある1)。日本における透析患者と健常者の感染症死亡のリスク,死因を比較した検討では,年齢補正を行った透析患者の死亡率は健常者の7.5倍であった2)。その背景には,透析患者が免疫不全患者であることが大きく関連している。
また,同一空間で同時に治療を受けるという透析患者特有の環境のため,流行感染症に罹患しやすく,医療機関側は感染管理を行う必要があるという側面もあり,発熱した際に感染症の可能性を考慮しながらマネジメントすることは透析患者において極めて重要である。
本稿では,透析患者が発熱した際の考え方,透析患者に特徴的な感染症,ならびに感染制御に関して概説する。
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