特集 脳梗塞
2.脳梗塞の診断—急性期における迅速・適切な鑑別と病型診断のためのオーバービュー
中森 正博
1
Masahiro NAKAMORI
1
1広島大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
pp.225-242
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901017
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
脳梗塞は時間が勝負であり,すみやかで適切な診断が欠かせない。21世紀に入り,経静脈的血栓溶解療法である遺伝子組換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ(rt-PA*1)や経カテーテル的血栓回収術といった超急性期治療が新たに登場し,脳梗塞診療は急速に進歩している。同時に,発症から治療までの適応時間(therapeutic time window)も拡大し,脳梗塞超急性期治療の恩恵を得られる可能性のある患者が潜在的に増えてきた。そのため,脳梗塞を迅速に診断して治療につなげることの重要性がさらに増している。病院前の段階から脳梗塞を疑うことの啓発,病院に到着してからの迅速かつ適切な鑑別と診察,画像検査の適切な選択と読影,スタッフの多職種連携などがより一層求められる時代となった。
加えて,高齢化に伴い脳梗塞リスクを有する人口は増加しており,予防の重要性がさらに増している。特に脳梗塞は再発率の高い疾患であり,超急性期治療に続いて,再発予防に移行するための適切な脳梗塞病型診断が重要である。
本稿では,脳梗塞急性期の診断において重要な鑑別,診察,画像検査を重点的に解説する。そして再発予防に移行するために重要な脳梗塞病型診断について整理する。さらに,脳梗塞リスクの事前予測,特に一過性脳虚血発作(TIA*2)の段階での適切な評価について述べる。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.