特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況
【セッティングⅣ】在宅診療
—オーバービュー—「在宅診療」における診断エラー
木島 庸貴
1,2
1島根大学医学部 総合医療学講座
2大田総合医育成センター 大田市立病院
キーワード:
在宅診療
,
プライマリ・ケア
,
診断エラー
,
急性疾患
,
高齢者
,
併存疾患
,
紹介
Keyword:
在宅診療
,
プライマリ・ケア
,
診断エラー
,
急性疾患
,
高齢者
,
併存疾患
,
紹介
pp.611-615
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203730
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Case
患者:62歳、男性。2年前に脳梗塞を発症し、右片麻痺、失語症あり。1年前から自宅療養中で、当院より訪問診療を行っている。主介護者の妻と2人暮らし。
現病歴:「朝から調子が悪そう」と妻から連絡があり、正午頃に臨時往診となった。妻より「横になると苦しそう」とのこと、ベッドのリクライニングを起こして様子をみていた。失語のため、本人からの情報収集は困難。臥位にて、体温37.2℃、血圧130/80mmHg、脈拍数95回/分、SpO2 93%(室内気)、呼吸数24回/分、表情は苦悶様。身体診察では、頸静脈怒張は認めず、胸部聴診に異常なし、腹部圧痛は認めない。臥位で苦悶症状あるが、起きると少し軽減する。心電図に異常所見なし。なお、診療所は30分ほど離れた場所にあり、検査はCBC(血算)・CRP(C反応性蛋白)・血糖・尿検査は可能、その他は外部に委託、ポータブルエコーはなし。
以上より起坐呼吸と考え、「心不全」疑いにて救急外来に紹介したところ、血液検査・胸腹部CT検査の結果、「急性上気道炎」疑いにて抗菌薬を処方されて帰宅となった。しかし3日後、全身状態が悪化し再度臨時往診。救急外来で実施された腹部CTで胆のう腫大の指摘もあり、「急性胆のう炎」疑いにて外科紹介とし、同診断にて同日緊急手術が行われた。
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