Japanese
English
特集 タバコとアルコール―その似て非なるところ
オーバービュー「タバコと糖尿病」
Smoking and Diabetes Mellitus
佐々木 温子
1
1東京衛生病院内科
キーワード:
①smoking
,
②smoking cessation
,
③tobacco
,
④diabetes mellitus
Keyword:
①smoking
,
②smoking cessation
,
③tobacco
,
④diabetes mellitus
pp.540-544
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100996
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2007年12月の米国の医学雑誌JAMAに,喫煙と糖尿病発症との関連に関するメタアナリシスの結果が発表された1).対象となった25コホート研究のうち24の研究で,糖尿病発症の相対危険度は1以上(平均1.44),1日喫煙本数20本未満で1.29,20本以上で1.61,過去喫煙者では1.23という結果であった.論文では,喫煙と糖尿病の関連についての議論は尽くされ,今後の研究の焦点は交絡因子および機序の解明に当てられるべきと結ばれている.
これまでの研究から糖尿病の合併症,すなわち糖尿病性三大合併症ならびに動脈硬化性疾患に対する喫煙の有害性は示されていたが,これで発症から予後に至るまでの過程すべてに喫煙が関与することが示されたことになる.さらに,喫煙はメタボリックシンドローム(MS)の発症とも関連し,能動喫煙のみならず受動喫煙も,糖尿病とMSの発症を増加させることが判明している.これに加え,子宮内環境への喫煙の影響を示す報告・論文も集積し,妊娠初期における胎児への喫煙曝露が生後の肥満をもたらすこと,ひいては将来MSあるいは糖尿病へつながる可能性も示唆されている2).
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