特集 肝胆膵
【総論】
1.肝胆膵疾患のフレームワーク:クロノロジスト宣言—時間軸の観点から疾患の臨床段階を意識する
篠浦 丞
1
Susumu SHINOURA
1
1国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科
pp.561-570
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900579
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本稿でまずホスピタリストは「クロノロジスト」たるべきことを宣言し,臨床マネジメントにおいては「クロノロジー(時間軸)」が最も重要であり,「クロノロジー」が本特集の各章の縦糸となる考え方であることを述べる。「クロノロジー(chronology)」とは「年表」とか「年代記」といった意味であり,そこから転じて「クロノロジスト(chronologist)」に,我々は,疾患や病態の経時的経過を重視し,それを中心に臨床病態や診断治療アプローチをとらえなおせる存在という意味を付与した。
問題解決のアプローチを洗練させていくには,時間軸を意識し,疾患を時間軸に沿ってとらえなおす作業が必要である。時間経過の長短は個々の症例の併存疾患や重症度によって異なるが,症状の順序,また一時的に症状が軽減する段階(latent phase)は疾患により一定であるため,時間軸に沿って疾患をとらえなおす作業は,単に時間経過をみていくということではなく,個々の疾患の「臨床段階“clinical phase”」とその順序を明確化することにほかならない。
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