特集 糖尿病
合併症
16.③糖尿病神経障害—生活の質低下のみならず生命予後に影響を及ぼし得る合併症
神谷 英紀
1
,
中村 二郎
1
Hideki KAMIYA
1
,
Jiro NAKAMURA
1
1愛知医科大学医学部内科学講座 糖尿病内科
pp.463-466
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900563
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Q1 神経障害の診断は?
糖尿病神経障害は,網膜症および腎症とともに頻度の高い細小血管症であり,糖尿病早期から生じる慢性合併症である。糖尿病神経障害を早期に診断し治療を行っていくことは重要なことであるが,神経障害の診断は腎症や網膜症と比べてやや複雑であり,定量性もすぐれないため,日常臨床で十分に行われていないのが現状である。
糖尿病神経障害の臨床徴候は多彩であり,多発神経障害と局所性神経障害に分類される。さらに,多発神経障害は,遠位対称性神経障害と自律神経障害に分類される。その診断においては,日本では糖尿病性神経障害を考える会*1が提唱している「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準」(表1)を用いることが推奨されている1)*2。この簡易診断基準に基づくと,❶糖尿病が存在すること,❷糖尿病性神経障害以外の末梢神経障害を否定し得ることが必須項目として挙げられる(臨床メモ①)。また条件項目として,①糖尿病性神経障害に基づくと思われる自覚症状,②両側アキレス腱反射の低下あるいは消失,③両側内踝の振動覚低下,が挙げられ,この3つのなかの2つを満たせば神経障害ありと診断する。
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