特集 糖尿病
合併症
16.②糖尿病性腎症—早期の診断と進展の抑制のために
四方 賢一
1
Kenichi SHIKATA
1
1岡山大学病院 新医療研究開発センター
pp.457-461
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900562
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Q1 糖尿病性腎症の鑑別に腎生検を考慮すべきなのは?
糖尿病性腎症は糖尿病に伴う腎合併症であり,典型的な症例では,初期にアルブミン尿が出現し(微量アルブミン尿),その後,顕性蛋白尿に進展し,蛋白尿の増加に伴って腎機能が次第に低下する。しかしながら,2型糖尿病患者の一部にはアルブミン尿が陰性のまま腎機能が低下するものがあり,このような症例のなかに糖尿病性腎症に特徴的な腎組織像を呈するものがあることも報告されている。最近改訂された糖尿病性腎症の診断基準の2型に関する記載では,アルブミン尿の有無を問わず,推定糸球体濾過量(eGFR)<30mL/min/1.73mm2であれば腎症第4期に分類されている1)。
一般的に,糖尿病性腎症と他の腎疾患の鑑別には,①発症までの罹病期間,②腎機能の低下速度,③蛋白尿の発症の仕方,④尿所見(血尿の有無),⑤網膜症の有無などが参考になるとされている。したがって,①糖尿病発症早期(5年以内)に顕性蛋白尿が出現,②急激な腎機能低下,③突然の蛋白尿の増加,④中等度以上の血尿,⑤網膜症を認めない,などの場合には,腎生検を考慮する必要がある2)。
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