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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
嗅覚
嗅覚の加齢変化と生命へ及ぼす影響
Olfactory dysfunction and changes with aging
三輪 高喜
1
Takaki MIWA
1
1金沢医科大学耳鼻咽喉科学
キーワード:
嗅覚低下
,
加齢
,
認知症
,
フレイル
,
生存率
Keyword:
嗅覚低下
,
加齢
,
認知症
,
フレイル
,
生存率
pp.714-719
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206714
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嗅覚は加齢とともに低下するが,視覚や聴覚と異なり,それを自覚する高齢者はほとんどいない.同様に,嗅覚低下は視覚低下や聴覚低下と比べて軽視されがちであるが,嗅覚低下による生活や生命への影響は軽視できない.嗅覚低下はアルツハイマー病(AD)やパーキンソン病(PD)などの神経変性疾患では発症前に出現することが知られており,早期発見のためのバイオマーカーとしての意義がある.嗅覚低下はフレイルやサルコペニアとも関連し,フレイルサイクルの形成に関与している.早期に嗅覚低下に気づき,適切な医療介入を行うことにより,認知症やフレイルへの進行を防ぎ,要介護への進行の予防につながる可能性がある.嗅覚低下は生命予後にも影響を及ぼし,死亡率の増加を招くことも知られるようになった.加齢に伴う嗅覚低下を予防する手段として,鼻副鼻腔疾患や生活習慣病,喫煙などリスクファクターからの回避とともに適度な運動,そして,においを意識して嗅ぐ嗅覚刺激療法が有用であるとされている.
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