特集 中毒
Part 3 中毒の集中治療
【コラム】その他の薬物中毒
都築 誠一郎
1
,
植西 憲達
1
Seiichiro TSUZUKI
1
,
Norimichi UENISHI
1
1藤田保健衛生大学 救急総合内科
pp.651-656
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200426
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薬物中毒の原因薬物としては,医療用医薬品のみではなくover the counter(OTC)薬によるものも頻度が高い。日本中毒情報センターの2015年の報告1)では,医療用医薬品による中毒の受信は7735件に対しOTC薬は3525件であり,OTC薬による薬物中毒は医薬品中毒の3割程度を占めている。OTC薬1錠に含まれる成分は医療用医薬品に比べ少ないものの,簡単かつ大量に入手することができるため,過剰摂取時に中毒症状を呈しICU管理が必要になる場合もある。
また,OTC薬は市販のバファリンプレミアムのように,イブプロフェン,アセトアミノフェン,無水カフェインが含まれていたり,催眠鎮静薬であるウットのように,ブロモバレリル尿素とジフェンヒドラミンが含まれているなど複数の成分が含まれているため,それぞれの成分が中毒症状を起こし得ることに注意が必要である。
誌面の都合上,本コラムでは特にアスピリン,カフェイン,ジフェンヒドラミン中毒の重要な点について,簡単ではあるが解説する。
Summary
●アスピリン(サリチル酸)中毒は,重症化すると呼吸不全や酸塩基平衡異常,中枢神経障害を呈し死に至ることがある。糖補充やアルカリ化,血液透析といった特異的治療がある。
●カフェイン中毒の症状は多岐にわたるが,重症化すると心室不整脈や血圧低下をきたし得る。対症療法,全身管理および活性炭投与,血液透析が行われるが,比較検討した研究はない。
●ジフェンヒドラミン中毒の治療は対症療法が基本となるが,wide QRSを認める場合には炭酸水素ナトリムが有効かもしれない。
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