特集 中毒
Part 3 中毒の集中治療
1.アセトアミノフェン中毒
都築 誠一郎
1
,
植西 憲達
1
Seiichiro TSUZUKI
1
,
Norimichi UENISHI
1
1藤田保健衛生大学 救急総合内科
pp.641-650
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200425
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アセトアミノフェンは市販の感冒薬や解熱鎮痛薬としても広く使用されており,容易に入手することができる。アセトアミノフェンは添付文書1)上,通常の最大用量は1日4g*1であり,その範囲のなかでは安全と言われている。過量服用では用量依存性に肝細胞壊死とそれに続く肝臓での炎症が起こり,急性肝不全を起こし得る2,3)。本稿では,アセトアミノフェン中毒について治療に関するエビデンスを中心に解説する。
Summary
●アセトアミノフェンは入手が容易な薬物であるが,過剰摂取により急性肝不全を引き起こし,死に至ることがある。
●拮抗薬であるN-アセチルシステイン(NAC)は,可能なかぎりアセトアミノフェン摂取後8時間以内に開始し,それが難しくても24時間以内に投与すべきと考えられる。
●Rumack-Matthewのノモグラムでtreatment lineを超える場合,治療を行うことが推奨されているが,treatment lineを超えなくても重度の肝障害の発生例があることや,本邦では血中アセトアミノフェン濃度の測定が一般的ではないことから,ノモグラムの有用性は限定的である。
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