特集 ICUエコー
Part 2 Intensivistに求められる超音波診断
気道呼吸器系
6.気道エコー
山口 嘉一
1
Yoshikazu YAMAGUCHI
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 麻酔科学
pp.51-58
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200349
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1990年代から,米国ではPoint-of-Care Ultrasonography(POCUS)として超音波診断装置の救急領域での使用が推奨され,2001年にはガイドライン1)が作成された。気道エコーに関する論文は2000年代から徐々に充実し,2010年代になると成人・小児ともにレビュー2,3)が報告された。2015年には,気管挿管の確認における気道エコーのシステマチックレビュー4,5)も報告された。
しかし,2015年に発表された重症患者管理におけるベッドサイドでの超音波適正使用ガイドライン6)では,気道エコーに関する推奨項目はなく,また,POCUSのレビュー7)をみても気道エコーについて記載されていないものもある。気道エコーは,発展途上にあるといえる。
本稿では,舌骨,喉頭を形成する軟骨の解剖とエコー画像の描出について記述し,その後に気道エコーの臨床応用について記載する。
Summary
●気道エコーでは高周波数のリニアプローブを用いる。
●気道エコーでは,舌骨,甲状軟骨,輪状軟骨,気管を指標として,舌骨甲状膜,喉頭蓋,声帯,仮声帯,披裂軟骨,輪状甲状膜,食道を描出できる。
●気道エコーによる観察は,気管チューブのサイズ選択,輪状甲状膜穿刺,経皮的気管切開,抜管前の声帯麻痺,Sellick手技,上喉頭神経ブロックに臨床応用できる。
●気管挿管の確認は,気管と食道を挿管時に観察する直接法と,挿管後にlung sliding,横隔膜を観察する間接法がある。
●声帯麻痺を評価するためには,声帯,仮声帯,披裂軟骨のいずれかを描出する。
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