特集 ICUにおける神経内科
Part 2 中枢神経疾患
9. 錐体外路疾患・神経変性疾患—Parkinson病/関連疾患患者の周術期・ICU管理
向井 洋平
1
,
村田 美穂
2
Yohei MUKAI
1
,
Miho MURATA
2
1国立精神・神経医療研究センター病院 神経内科
2国立精神・神経医療研究センター病院
pp.827-837
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200325
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本邦のParkinson病(PD)は人口10万人当たり100〜150人程度1)と考えられているが,70〜90歳代では800〜1000人となり2,3),医療機関を受診した患者がたまたまPDということもめずらしい状況ではなくなった。本稿では,抗Parkinson病薬を集中治療においてどのように使用するか,ならびに,そのなかで新規抗Parkinson病薬が果たす役割を解説する。また,Parkinson病患者の悪性症候群や認知症などの神経変性疾患についても触れる。
Summary
●Parkinson病/関連疾患患者の周術期管理に関しては,エビデンスが乏しく,詳細かつ具体的な方法を記したガイドラインは存在しない。
●内服が難しい患者への抗Parkinson病薬の投与法として,経鼻胃管/胃瘻から投与,貼付薬へ変更,点滴製剤へ変更の選択肢がある。貼付薬や点滴製剤へ置き換えるにはL-ドパ換算量(LED)の計算が必要となる。
●抗Parkinson病薬の急激な減量は,悪性症候群,ドパミンアゴニスト離脱症候群,パーキンソニズムの増悪などを惹起し得る。
●認知症患者やParkinson病/関連疾患患者への鎮静剤の使用は,転倒や誤嚥などの身体合併症のリスクを高めるため慎重に検討する必要がある。
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