特集 錐体外路系・I
錐体外路性疾患の組織化学
白木 博次
1
,
山本 達也
2
,
浜田 晋
2
1東京大学医学部脳研究所病理部
2東京大学医学部精神医学教室
pp.847-869
発行日 1959年9月5日
Published Date 1959/9/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901710
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I.まえがき
不随意性の運動異常を主徴とする神経疾患をひきおこす形態的基礎が,脳基底核(basale Ganglion)の病変にあるとみなされるようになつたのは,Huntington Chorea,Wilson病あるいはStatus marmoratusなどについてのAlzheimer1),Wilson2),C. Vogt3)らのすぐれた臨床観察と病理解剖学的研究に端を発している。そしてこのことはさらにC. U. O. Vogt4)の"Striäres System"に関する正常および病的諸条件についての,きわめて包括的な分析によつて確立されたものというべきである。その後流行性脳炎をはじめ,多数の疾患の経験を通じて,不随意運動を支配する神経核は,単にStriäres Systemにかぎられることなく,ひろく終脳から脳幹にかけてのびる固有の機能をもつた1つの系,つまり"錐体外路系"にふくまれることが形態学の立場から明らかにされたのである。
その間1922年Spatz5)によつて,正常人の錐体外路系が生理状態のもとできわめて多量の鉄をふくむことにより,ほかの脳領域から区別できるという特長をもつことが明らかにされた。
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