特集 ICUにおける神経内科
Part 3 末梢神経・筋疾患
10. Guillain-Barré症候群などの末梢神経障害—重症例に対する治療と全身管理
桑原 基
1
Motoi KUWAHARA
1
1近畿大学医学部 神経内科
pp.839-848
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200326
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Guillain-Barré症候群(GBS)は自己免疫機序によって起こる急速進行性の末梢神経障害であり,神経内科で遭遇する急性の多発末梢神経障害として頻度が高く,重症例も多い。ICUでの治療が必要となるGBS患者は球麻痺や呼吸筋麻痺,重篤な自律神経障害を伴う場合があり,管理期間が長期となることもある。本稿ではGBSの診断と治療法,全身管理を中心に概説する。
Summary
●GBSは急速進行性の四肢筋力低下をきたす免疫介在性の多発末梢神経炎で,発症前に約70%で先行感染がみられ,症状は4週間以内にピークとなり,以降は回復していく。
●GBSの診断は臨床徴候によって行われる。補助検査として,神経伝導検査の異常所見,脳脊髄液中のタンパク細胞解離や抗糖脂質抗体の測定が有用であるが,初期に神経伝導検査や脳脊髄液検査の所見が正常であっても,GBSを否定できないことに注意する。
●GBSに対する免疫療法は血漿浄化療法と経静脈的免疫グロブリン療法があり,有効性はほぼ同等である。
●ICUでの治療が必要な重症GBS患者では,呼吸筋麻痺や心・血管系の自律神経障害に注意し,血圧,心電図,酸素飽和度モニター,肺活量の測定を行う。
●GBSの予後不良因子として,ピーク時の重症度,高齢者,先行する下痢または,C. jejuni感染,人工呼吸器の装着が挙げられる。発症早期に予後を予測するEGRISやmEGOSが報告されている。
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