特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 1 ICUでのコモンプロブレムの鑑別診断と対処
2.輸血管理
2-2.目標とすべきヘモグロビン濃度は?—7.0〜8.0g/dL未満を目安として症状や基礎疾患を加味した赤血球輸血を
福家 良太
1
Ryota FUKE
1
1仙養会北摂総合病院 呼吸器内科・感染対策室
pp.267-277
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200159
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血液は神聖なもので,霊魂が宿る,血液によって生命力や若さが得られるとする考えが古来からあり,古代エジプト時代から15世紀頃まで血液を飲むことが病気回復につながると信じられていた。この信仰からドラキュラ伝説も生まれており,これらは科学的でないにせよ,血液に対して人類が特別な関心を抱いていた証拠でもある。その後,英国人医師Harveyの「血液循環説」(1628年)を経て,血液を直接血管内に投与する輸血の歴史が始まった。
Summary
●1999年に報告されたTRICC study以降,赤血球輸血を制限することを支持するRCTが相次いでいる。
●ICU患者においては,赤血球輸血はHb濃度7g/dL,心血管系リスクを有する場合は8g/dLを開始基準の目安とすることが推奨されるが,最良の輸血閾値は明確ではなく,最終的な輸血の判断は,Hb濃度のみならず,年齢,症状,全身状態,基礎疾患などを考慮して総合的評価のもと行われるべきである。
●白血球除去製剤をはじめとする血液製剤の安全性の向上に伴い,輸血に関するエビデンスは今後も変わっていく可能性がある。
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