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輸血は臓器移植の一種である。投薬と同様,日常的に行われる医療行為であるため,この事実を忘れがちであるが,特別な知識と配慮が必要である。法律でも,医療関係者は血液製剤の適正使用に努めるとともに,血液製剤の安全性に関する情報の収集および提供に努めなければならないと定められている(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律 第8条)。
長年の努力により血液製剤による副作用の頻度は極めて低くなった。特有の副作用はゼロにはできないが,対策は現在も日々進歩している。使う側は意識していないかもしれない,日本赤十字社や病院輸血部門での取り組みをまじえて記述する。
なお,本稿は日本国内での診療を念頭に記載した。輸血用血液製剤は,1単位に相当する血液量が国により異なり,安全対策や製剤の手に入りやすさも異なる。特に,全血採血量として200mL前後の低容量製剤は限られた地域のみでしか作成されておらず,欧米では多くが450〜500mL前後の血液由来の製剤を1単位としている。海外の文献を参照する場合は,留意する必要がある。
また,製剤ごとの適正使用については,厚生労働省が制定している「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤の使用指針」1)に必要かつ十分に記載されている。日本赤十字社のホームページからも入手できるので,ご一読いただきたい。
Summary
●国内で供給される輸血用血液製剤は,すべて国内献血由来であり,輸血後感染症をかぎりなくゼロに近づける努力が今も行われている。
●輸血を行った患者と輸血製剤の安全性の向上のために,輸血前・輸血3か月後の感染症検査を行うことが必要である。
●赤血球および血小板製剤には,輸血後GVHD予防のための放射線照射が必須である。
●輸血後副作用軽減のため,全輸血用血液製剤に対して保存前白血球除去が行われている。
●血小板製剤輸血時のアレルギー性副作用などの予防に,血漿を除去した洗浄血小板が効果的である。
●現在,新鮮凍結血漿の容量は1単位当たり120mLである。
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