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血小板減少症は,重篤な患者において共通してみられる所見であるが,血小板輸血の効果を裏づけるクオリティの高いエビデンスは欠如している1)。最近のシステマチックレビュー2)によると,ICUに入室する成人患者の8.3〜67.6%に血小板減少症(<15万/μL)がみられるとされている。しかし,ICU管理患者の血小板減少症は,化学療法に起因した血小板減少症の患者と比べて多因子が関与し,感染,炎症,大量輸液,凝固因子の消費などが原因であることが多い。そのため,ICU管理患者の血小板減少症に対する第一の治療は,あくまでその根本的な原因を治療することである1)。その前提をふまえたうえで,造血器疾患患者,成人ICU管理患者における目標血小板数について考察したい。
Summary
●血小板は止血反応のみならず,NETs形成促進などの炎症・免疫反応にも大きくかかわっていることが明らかになっている。
●化学療法などによる低形成による血小板減少症に対しては,1万/μLをトリガー値として予防的輸血を行うのが一般的である。
●低形成に起因する血小板減少症に対して行う予防措置としての血小板輸血は,低用量でも高用量でも出血イベントの発生に差はない。
●外傷による大量出血時は,濃厚赤血球のみならず,濃厚血小板と新鮮凍結血漿を早期に輸血することを考慮する。
●外科手術の予防的輸血に関しては,現時点では5万/μLがトリガー値である。
●中心静脈カテーテル挿入に際しては,2万/μL未満でも圧迫可能な部位を選択し適切に行うことができれば予防的に血小板輸血を行う必要性はない。
●ICU管理患者における血小板減少症は重症度を反映しており,独立した予後予測因子となり得る。しかし,至適血小板数のトリガー値が不明であり,輸血療法の効果は不明である。
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