特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 1 ICUでのコモンプロブレムの鑑別診断と対処
2.輸血管理
2-1.輸血の基礎
上條 亜紀
1
Aki KAMIJO
1
1横浜市立大学附属病院 輸血・細胞治療部
pp.251-258
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200157
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輸血は血管内・体内の各種成分の不足に伴う有害事象の一時的な急速改善のために行うが,「過ぎたるは及ばざるが如し」の代表的な処置である。一般的な薬物よりも抗原性と感染リスクが高く,投与直後から有害事象が生じ,終了後も長期に及ぶ場合も多い。輸血は,患者個々の病状に応じたきめ細やかな戦略が必要な同種移植術なのである。
本稿では,我が国で使用可能な主たる献血由来輸血用血液製剤(赤血球液,血小板濃厚液,新鮮凍結血漿)と患者病態に応じた適切な輸血療法について解説する。
Summary
●積極的(トリガー値高値)な赤血球輸血が生命予後を改善する,というエビデンスはない。
●血小板は1万/μL以上を保つよう,予防的輸血を行う。
●新鮮凍結血漿輸血のトリガー,有効性に関する質の高いエビデンスはない。
●緊急時には救命を目的とした異型適合輸血を念頭におく。
●副作用は決してゼロにならない。
●輸血部門の積極的な有効活用を。
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