特集 ウイルス肝炎
輸血,血液製剤の安全性の現状
岡田 義昭
1
,
水沢 左衛子
1
,
種市 麻衣子
1
,
梅森 清子
1
,
斉賀 菊江
1
1国立感染症研究所血液・安全性研究部
pp.781-785
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100159
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血液製剤というと,一般的には血漿分画製剤を指すことが多いが,正確には輸血に用いられる赤血球濃厚液,濃厚血小板液,新鮮凍結血漿等の成分製剤と,血漿から製造される血漿分画製剤の総称である.過去に凝固因子製剤によってHIVやHCV(C型肝炎ウイルス)の感染が発生し,大きな社会問題になった.また,かつては受血者の約50%が輸血後肝炎になった信じられないような時代から,年間百数十万件の輸血によって数十例の肝炎(疑い例を含む)感染にまで激減した現在を考えると,確かに安全性は飛躍的に向上したといえる1).しかし,血液製剤は新薬事法において「特定生物由来製品」に指定され,各医療機関では投与記録の20年間の保管と使用にあたっては,患者へのリスク等の説明が求められており,今後もさらなる安全性の向上を目指すことが求められている.
本稿では,輸血用血液および血漿分画製剤の安全性確保のために実施されている,対策の現状を解説したい.
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