特集 PCAS
Part 3 心拍再開後の治療
4.小児の低体温療法—エビデンスがないなかで,どのように適応を考えるべきか
平井 克樹
1
Katsuki HIRAI
1
1熊本赤十字病院こども医療センター 小児科
pp.719-726
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200109
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新生児,小児,成人と年齢にかかわらず,心停止直後の対応はBLS,NCPR,PALS,ACLSなどを代表とする標準化された蘇生プロトコルにより,近年めざましい進歩を遂げている。また,今回の特集でもわかるように,成人の分野では,自己心拍再開(ROSC)後の集中治療についても多くのエビデンスが蓄積しつつあり,この領域の進歩は著しい。しかし,小児領域におけるROSC後の治療の現状はどうであろうか。本稿では,ROSC後のみならず,小児の体温管理療法,特に低体温療法に焦点をあて,小児における低体温療法のエビデンス,低体温療法の生理病理学,禁忌や合併症,適応疾患,低体温療法の施行法を紹介したい。
Summary
● 低体温療法に関しては,新生児領域は質の高いエビデンスがあるのに対し,小児領域は不十分なエビデンスのもとに数々の疾患に試みられている。
● 新生児の低酸素性虚血性脳症に関しては,質の高いエビデンスにより有効性が示されている。
● 小児領域の低体温療法が試みられている疾患で,ある程度の研究が行われているものは,心停止後の脳障害と頭部外傷の2つである。
● 難治性痙攣に対する低体温療法が施行されている場合もあるが,現時点ではエビデンスは不十分と言わざるを得ない。
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