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ICUにおける体温管理といえば,低体温療法therapeutic hypothermia,あるいは常温療法(anti-hyperthermia,fever control,induced normothermia)が挙げられる。体温を下げることで,侵襲が加わった脳に対する保護効果が得られることは広く知られているが,臨床データからのエビデンスが広く受け入れられているのは心停止後症候群(特に心停止後脳障害)に対するものだけである。全身管理の難しさや合併症のリスクもあるため容易に導入できるものではないが,心停止後症候群以外の病態でも効果を期待できる治療法だけに,世界中でさまざまな研究が進められている。本稿では,体温管理・低体温療法の現状についてまとめる。
Summary
●「低体温療法」,「常温療法」ではなく,TTM(targeted temperature management)という用語の使用へ転換が求められている。
●中枢神経障害後の高体温は障害の増悪と関連しており,急性期には適切な体温管理が求められる。
●心停止後症候群に対しては低体温療法のエビデンスが認められており,初回心電図波形がVf/VTの症例に対しては積極的に推奨されている。
●新生児低酸素性虚血性脳症に対しても低体温療法の効果が認められている。
●頭部外傷に対する低体温療法のエビデンスは認められていないが,48時間以上の低体温維持と時間をかけた復温を行うことで予後を改善できる可能性がある。
●脳梗塞に対しての低体温療法はエビデンスが確立されていないが,rt-PA製剤による血栓溶解療法との併用療法が注目されている。覚醒状態での低体温療法を導入する工夫も進められている。
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