実践!頭痛診療-頭痛に悩む患者をどう診てどう治す? 一次性頭痛 片頭痛
性差を勘案した片頭痛診療の実際
渡邉 由佳
1
,
五十嵐 久佳
,
辰元 宗人
,
深澤 一雄
,
平田 幸一
1獨協医科大学 神経内科
キーワード:
Tryptamines
,
記録
,
月経困難症
,
性因子
,
生活期
,
性腺ステロイドホルモン
,
鎮痛剤
,
妊娠期
,
分類
,
片頭痛
,
年齢因子
Keyword:
Age Factors
,
Analgesics
,
Classification
,
Dysmenorrhea
,
Migraine Disorders
,
Pregnancy Trimesters
,
Sex Factors
,
Gonadal Steroid Hormones
,
Records as Topic
,
Tryptamines
pp.755-760
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015211926
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15歳以上の日本人の片頭痛有病率は,成人男性の3.6%,成人女性の12.9%であり,30~40歳代の女性にもっとも多くみられるのが特徴である.月経期間に起こる片頭痛は,他の時期の頭痛に比べ,重症度が高く,持続時間が長く,頭痛頻度も高く,治療抵抗性であるため,患者の日常生活に重大な支障をきたすことが多い.月経関連片頭痛では,頭痛ダイアリーの記載が必須であり,プロスペクティブに連続した少なくとも3周期の頭痛ダイアリーで確認し診断する.片頭痛患者の妊娠,出産後の片頭痛の経過は,一般的には妊娠後期になるに従い頭痛発作回数が減少・改善することが多いが,出産後比較的早期に片頭痛発作が出現する.妊娠や出産・授乳期の片頭痛治療は,催奇形性や,胎児毒性,児への薬剤移行の可能性を考え,できるだけ非薬物療法を選択することが望ましい.妊娠や出産・授乳期に,片頭痛に対して薬物療法を選択する場合,必要最小量が基本である.発作時の急性期治療薬としてacetaminophenが勧められる.妊娠や出産・授乳期であっても,絶対に服薬していけないわけではないことを患者に説明し,妊娠授乳期に禁忌である薬剤と,比較的問題が少ない薬剤があることをその都度しっかりと説明し,頭痛時の対処法について適切な助言を行い,今後頭痛が発現することへの予期不安を取り除くことがもっとも重要である.
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