特集 ICUルーチン
第2章 ICUにおける検査・処置
11.ICU入室中の心房細動の予防・治療―原疾患の治療と補正可能な併存病態の改善を優先する
亀崎 文彦
1
,
安部 治彦
2
,
真弓 俊彦
1
Fumihiko KAMEZAKI
1
,
Haruhiko ABE
2
,
Toshihiko MAYUMI
1
1産業医科大学医学部 救急医学
2産業医科大学医学部 不整脈先端治療学
pp.237-244
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100649
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心房細動は,ICU患者でしばしば観察され1,2),集中治療医はこのリズム障害を有害と信じて治療する傾向にあるが,実際は治療に難渋することも多い。それは,ICU患者における質の高いエビデンスが乏しく,心房細動に対するベストな戦略も確立されていないからである。このような状況下,本稿の執筆には大きな限界があるが,日本循環器学会の「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」3)をふまえ,ICU入室中の心房細動の予防・治療について文献的に概説する。
Summary
●ICU入室中の心房細動の予防・治療では,原疾患の治療と補正可能な併存病態の改善が優先される。
●心房細動の発症は,ICU滞在期間および入院期間の延長,脳卒中リスクの増加,そして医療費の増加と死亡率の上昇に関連する。
●β遮断薬またはアミオダロンの予防投与は,心臓外科手術後の心房細動発症率を著明に低下させる。
●ICU入室中の心房細動に対して,質の高いエビデンスに基づいたベストな治療法は確立されていない。
●カルディオバージョンは,しばしば不成功であり,成功しても再発率が高い。
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