特集 見逃していませんかその症状,疾患!-日常診療で見逃さないためのTips-
4.肺高血圧症/肺血栓塞栓症
1.抗凝固薬投与にもかかわらず増大する右房内血栓
田村 雄一
1
1国際医療福祉大学医学部循環器内科
キーワード:
ベーチェット病
,
心腔内血栓症
,
治療抵抗性
,
免疫抑制療法
Keyword:
ベーチェット病
,
心腔内血栓症
,
治療抵抗性
,
免疫抑制療法
pp.119-123
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000000368
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50 歳代,男性。 主訴 発熱。 経過 10 年前に両足の疼痛を伴う腫脹を呈し,深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)と診断され抗凝固療法を開始した。しかし翌年に発熱とDVT の再発で入院した。心エコー図検査で右房内に70 × 60mm の血栓像を認めた。先天性凝固因子異常は認められず,感染性心内膜炎,結核,悪性腫瘍も認められなかったが,ぶどう膜炎,結節性紅斑および大腸内視鏡検査で末期回腸に潰瘍が認められベーチェット病と診断された。ヘパリン投与によりDVT はいったん改善したが,5 カ月後に肺動脈内と右心房に再度血栓像を認めたため,外科的に血栓摘出術を行った。しかし術後1 カ月で症候性の右房内血栓が再発したため,プレドニゾン(60mg/ 日)による免疫抑制療法を開始したところ血栓は消失した。 今回,39.0℃を超える高度の発熱で入院,心エコー図検査の結果,右房内血栓(36⊗30mm)が以前と同じ部位に再発していた。またDVT の再発および十二指腸潰瘍・盲腸潰瘍も認められベーチェット病の再燃が示唆された。肺塞栓症は認められなかったが,高用量プレドニゾン(60mg/ 日)に加えてアザチオプリン(50mg/ 日)を投与したところ,2 カ月後に血栓は完全に消失した。
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