特集 ICUルーチン
第2章 ICUにおける検査・処置
9.採血・尿定性検査―ICUにおける血液ガス分析を減らすことはできるのか
祐森 章幸
1,2
,
森村 尚登
1
Akiyuki YUMORI
1,2
,
Naoto MORIMURA
1
1横浜市立大学医学部 救急医学教室
2横浜市立市民病院 救命救急センター
pp.217-224
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100647
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重症患者が入室するICUでは,必然的に検査の頻度が高くなる。特に,患者への侵襲が低く専門的な手技も不要な血液検査や尿検査は頻繁に行われる1)。また,動脈圧カテーテル(A-line)からの血液ガス分析blood gas analysis(BGA)が非常に頻回に実施されることもICUの特徴の1つである2)。毎日のルーチンの血液検査から,診療上有用な情報が得られると考えている施設も少なからずあると思われる。一方で,検査のルーチン化がどれほど治療方針の決定に関与するか?どれだけのコストがかかるのか?採取する血液量は患者に害を及ぼさないか?単なる慣習で検査が行われていないか?といった疑問も挙げられよう。本稿では,これらの疑問解決の糸口を提示したい。
Summary
●ICUではルーチンに連日血液検査が施行されていることが多く,特に血液ガス分析は1日複数回施行されることがある。
●動脈圧カテーテルの留置は無駄な採血を増やす危険を伴う。
●ICUでの頻回な検査はコストの増大,採血量増加による貧血といったデメリットを生む可能性がある。
●検査にかかるコストを具体的に周知したり,施設ごとに検査の施行基準を作成したりすることで,患者のアウトカムを悪化させることなく検査の頻度を減らすことができる。
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