技術解説
尿の定性検査の実際
降矢 震
1
1千葉大・検査部
pp.817-825
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909057
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
尿の成分の変化は,その由来する血液よりもはるかに早期に出現する.尿への排泄は血漿の恒常性を保つ大きな因子だからである.また糸球体瀘液が百分の一にも濃縮されることは,その変化を非常に増幅する.尿の定性反応が,ときとして血清の精密検査に勝ることがある所以である.
かつては尿検査に携わる技師は,他の部門よりも何となく軽んぜられたようである.確かに用いる機器は他と比べて簡単であり,一見低級に見える.しかし,鋭敏な観察力.臨機の処置が要求される点では,いかなる高価,精密な機器を用いる検査に勝るとも劣らない.昨今試験紙法が広く行われている.簡易迅速ではあるがこれにも多くの問題がある.今我々の日常経験したことにつき本稿を記した.その内容は限られた少数についてであり,常識化したことも多い.指導者のいない小検査室の方々に,もし何らかでもお役に立てば幸いである.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.