座談会
尿の定性検査法
藤井 暢三
1
,
武内 重五郎
2
,
蔵本 築
3
,
相賀 静子
4
,
松村 義寛
5
,
天木 一太
6
,
松橋 直
2
,
高橋 昭三
7
,
樫田 良精
2
1東京逓信病院,臨床検査科
2東大
3東大病院中央診療部
4東京第一病院検査科
5東京女子医大
6日大
7東大医学部細菌学教室
pp.296-307
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905700
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最近軽視されるきらいがある
樫田 検尿は従来から医師自らが検査していたものの一つであります。現在でも診察の時に患者さんの診断をするのに最も大切なスクリーニングの方法の1つであります。しかるに最近では中央検査室の中に尿の検査室が設けられて,大きな病院では1日に非常に沢山の検尿をやつております。こういう新しいシステムが行われるようになつてきますと医者と,検尿を扱う責任者の間の距離的,時間的,あるいはものの考え方に1つのギヤツプが出来て診療上のいろいろなトラブルが起きてくるわけです。検尿とは医者である以上出来るのが当然である検査の1つであるが,中央検査室が出来てきますと,どの医者でもまともな検査が出来るとはいえない時代も起りつつあるし,又一方テクニシヤンの中には,検尿というのは,一番低級な検査だというような間違つた考えを持つている人があります。臨床病理学会でも2級試験をやつていますが,従来生化学の試験科目の中で検尿の試験は1つの大きなパートでありましたが,生化学に代つて臨床化学という新しい科目が出来たとたんに非常に軽視される傾向が起きました。検尿については多くの問題があります。今日お集りの皆さん方に,いろいろな角度から検討していただき,現状よりも少しでも良い状態になるようにしたいと思います。
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