今月の臨床 IUGR診療
新しい胎児診療の試み
18.胎児採血と血液ガス分析
武山 陽一
1
,
岡村 州博
1
1東北大学医学部産婦人科
pp.309-311
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901650
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胎児採血の必要性
子宮内胎児発育遅延(IUGR)症例を管理するうえで最も重要なことは胎児のwell-beingを正確に評価し,胎外治療に切り替えるタイミングを決定することと思われる.しかし,現在行われている非侵襲的方法では不十分であることも多い.NSTによる胎児well-beingの評価は日常診療において最も普及し有用な方法であるが,とくに方針決定に苦慮する妊娠30週以前においてはreactive patternを示さないことも多く,well—beingの判断が困難である.また,non-reactiveであった場合でも胎児well-beingが良好である場合も多く,逆に長期間低酸素ストレスにさらされた胎児は再びreactive patternを示すことが知られている1).したがって,とくに慢性胎児ストレスの結果とも考えられるIUGRにおいてNSTの信憑性はさほど高くないと言える.パルスドップラーによる血流計測でも拡張期血流の途絶,逆流のある場合を除き評価は難しい.このような症例において,現時点で最も信頼できるデータが得られるのは,胎児採血による胎児血のガス分析であろう,
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