特集 疼痛・興奮・譫妄
モデルケース:回答3:筋弛緩薬や鎮静薬の使用はできるだけ避け,自発呼吸を温存しつつ挿管し,早期から理学療法を行う
毛利 英之
1
Hideyuki MOURI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部
pp.118-120
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100630
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場面1:気管挿管
緊急気管挿管に伴う合併症を
防ぐことが第一の目標
本症例は,比較的若い男性で,重症の呼吸不全かつプレショックであり,フルストマックではなく,麻酔歴からは,明らかな挿管困難はなさそうである。また,意識下挿管には非協力的であることも予測される。
ICUやERで,高度な低酸素血症を示す急性呼吸不全患者に対して緊急気管挿管をする際には,重篤な合併症,なかでも特に重症低酸素血症が生じる1)とする報告が多い。また,自発呼吸から調節陽圧換気への変更に伴う急激な変化は,主として静脈還流量の減少から血行動態の悪化をもたらす。挿管時に,パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度(SpO2)が70%以下に低下すると,血行動態の破綻,低酸素脳症,死亡のリスクが上昇する2)とされている。低酸素血症を避けつつ気管挿管後の血行動態の悪化を防ぐことが,本場面での第一の管理目標となる。
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