特集 ARDSの今を語り尽くす
❽ 危険な自発呼吸とは何か—安全な自発呼吸を温存するための方法
星野 太希
1
,
吉田 健史
1
Taiki HOSHINO
1
,
Takeshi YOSHIDA
1
1大阪大学大学院医学系研究科 生体統御医学講座 麻酔・集中治療医学教室
キーワード:
経肺圧
,
患者-人工呼吸器非同調
,
pendelluft現象
,
ACURASYS trial
,
ROSE trial
,
筋弛緩薬
,
腹臥位
,
PEEP
Keyword:
経肺圧
,
患者-人工呼吸器非同調
,
pendelluft現象
,
ACURASYS trial
,
ROSE trial
,
筋弛緩薬
,
腹臥位
,
PEEP
pp.89-97
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201154
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はじめに
人工呼吸器管理中の自発呼吸は,酸素化を改善することが知られており,酸素化は重要な目標であるため自発呼吸が温存されてきた1)。また,自発呼吸を温存することで,呼吸筋や横隔膜の廃用を防ぐことができると認識されてきている。以前は調節換気主体であったが,近年は自発呼吸を温存する補助換気モードの使用が増加しており,自発呼吸の温存は人工呼吸器管理において中心的な役割を果たしている2)。しかし,急性呼吸窮迫症候群acute respiratory distress syndrome(ARDS)が特に重症の場合や吸気努力が強い場合は,逆説的に自発呼吸の温存により肺傷害を悪化させることが明らかになってきた。
本稿では,自発呼吸による生理学的な害,自発呼吸の評価方法,自発呼吸による肺傷害を減少させる方法を概説する。
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