特集 神経集中治療
【コラム】脳循環代謝のモニタリングの原理と妥当性―SjO2,NIRS,PbtO2の測定は転帰に影響するのか
櫻井 淳
1
,
木下 浩作
1
Atsushi SAKURAI
1
,
Kousaku KINOSHITA
1
1日本大学医学部 救急医学系救急集中治療医学分野
pp.544-549
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100557
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モニタリングは,測定によって得られたデータの異常に対応するために行う。モニタリングを行っても,異常値が出たときの意義を理解し処置を行わなければ,意味はない。さらには,そのモニターを使用することにより転帰の改善が望めなければならない。したがって,まずは脳循環代謝のモニタリングの意義を理解する必要がある。
脳循環代謝といえども,自然現象であるため物理法則に従う。したがって,ごく単純な数式を積み重ねることで,脳循環代謝の初歩を理解することができる。内頸静脈酸素飽和度jugular bulb venous oxygen saturation(SjO2)を理解することは,脳循環代謝の初歩を理解することと知っていただきたい。数式にアレルギーをもっている読者もおられると思うが,出てくるのは単純な足し算・引き算・掛け算・割り算であり,理解は易しいと思われる。
Summary
●SjO2は脳循環代謝を理解するために有用な指標であるが,現在はモニタリングとしてあまり使用されなくなってきている。
●NIRSはSjO2と正の相関を示すといわれており,心臓手術などの麻酔領域で臨床応用されている。日本発のエビデンスとしては,心停止蘇生後症例の心停止中のNIRSの値による転帰予測の報告がある。
●PbtO2は,脳組織の酸素分圧を直接測定することで得られる。頭部外傷に対する有用性については,現在多施設研究が行われている。
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