特集 神経集中治療
2.神経学的所見と局在診断―Neuro ICUでの診察のポイント
河合 真
1
Makoto KAWAI
1
1テキサス州ヒューストン市メソジスト病院 神経内科神経生理部門
pp.483-492
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100551
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神経疾患専門のICU(Neuro ICUもしくはNeurosurgical ICU)は米国の大規模な病院では比較的よくみられ,神経集中治療の専門医(neuro intensivist)が患者のマネジメントを行う。そこでは Guillain-Barré症候群,重症筋無力症のクライシス,てんかん重積発作,重症の脳梗塞などの神経内科の緊急症,種々の脳出血,脳腫瘍などの脳神経外科の緊急症などが対象疾患になる。当然脳神経外科の術後管理の側面もあるので,どちらかというと脳神経外科がかかわることが多いが,境界領域の疾患も多く,神経内科も昨今かかわってくることがかなり増えてきている。
Neuro ICUの存在により,神経疾患診療に必要な頭蓋内圧(ICP)モニタリングや脳波モニタリングなどの手技にスタッフが習熟する,看護スタッフの観察技術が習熟する,緊急時のCT,MRIの体制が整えやすい,といった誰もがそうとわかる利点が生まれる。そうしたもの以外の利点としては,医師が神経系の評価,治療に集中できるので効率がよくなることが挙げられる。緊急対応が必要とされるICUのなかでneuro intensivistがかかわることにより,鑑別診断をある程度最初からしぼることができることは,メリットが大きい。
Summary
●神経所見は,常に局在診断を考えながらとる。
●一見局在診断がつかなさそうな意識障害でも,局在診断をつけられる症候がある。
●脳ヘルニアの徴候は見逃さない。
●意識障害がある場合は,意識清明の場合と異なる神経所見のとり方をする。
●反射は,反射経路を考えながらとる。
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