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米国では,neurocritical careは,神経学neurology(集中治療医学ではない!)のsubspecialtyとしてUnited Council for Neurologic Subspecialties(UCNS)に正式に認可されている。neurocritical careフェローシップも確立され,コアカリキュラムはSociety of Critical Care Medicineのものを基本として作成され,神経集中治療医neuro intensivistも500名程度まで増加している。しかし,我が国においては,神経集中治療あるいは脳指向型集中治療という言葉は存在してはいるものの,標準化された医療として確立されるには至っていない。まして,Neuro ICUおよびneuro intensivistという専門医の定義は確立していない。
従来,我が国では,Neuro ICUの対象と考えられる脳神経疾患(脳卒中,頭部外傷など)は,内科疾患については神経内科医が,脳外科手術後患者については脳外科医が主治医として担当していることが多い。一方,心停止後症候群に対しては,循環器科医,救急科医による神経学的転帰改善のための低体温療法(注:これはNeuro ICUのツールの1つである)が急速に普及してきている。Neuro ICU領域でのエビデンスのある医療は,集中治療全体のなかでも未開拓な領域であるが,急性脳障害に対する有効な治療や管理法が存在することも事実である。
本稿では,神経集中治療の歴史をふまえながら,米国のNeurocritical Care Society (NCS) におけるNeuro ICUやneuro intensivistの定義を紹介し,Neuro ICUに関連する疾患の疫学およびNeuro ICUを設置することの意義(効果)をまとめることにより,今後,日本における神経集中治療のあるべき姿を展望する。
また,本稿の執筆にあたり,小畑仁司先生(大阪府三島救命救急センター),永山正雄先生(国際医療福祉大学熱海病院)のご論稿を参考とさせていただいた。ここに感謝を申し上げる。
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