特集 ARDS
8.ARDSに対する非人工呼吸療法,薬物療法を中心に:過去,現在,未来―(4)シベレスタットに関する2つの無作為化比較試験について
内野 滋彦
1
Shigehiko UCHINO
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科・集中治療部
pp.97-100
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100169
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好中球エラスターゼは,肺結合組織の分解,肺血管透過性の亢進,好中球遊走因子の産生の促進など,ALI/ARDSの重要な障害因子として注目されている。シベレスタットナトリウム(エラスポールⓇ)は本邦で開発された好中球エラスターゼ阻害薬であり,「全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害の改善」を効能として保険収載されている薬物である1)。
さて,どこにでも書いてあるような一般論はこのあたりで終りにして,本題に入りたい。シベレスタットについて日本語で書かれた総説を読んだことのある方なら,この薬について日本と欧米でそれぞれ無作為化比較試験randomized controlled trial(RCT)が行われ,日本では有用性が示され1),欧米ではその逆の結果2)になったことはご存知と思う。しかし,実際に両方の文献を読み比べたことのある方は少ないのではないだろうか。本章では,この2つのRCTを批判的に吟味,比較し,シベレスタットの有効性について改めて考えてみたい。
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