Japanese
English
綜説
人工血液—過去,現在,未来(I)
Artificial Blood:Past, Present and Future
簑島 高
1
Takashi Minoshima
1
1北海道大学(生理学)
1Physiology, Hokkaido Univ.
pp.758-767
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204053
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著者が人工血液の題名で第1報を発表したのが昭和26年(1951)であって,今から約30年前のことである。著者は後記のようにコバルト,ヒスチジン化合物(キレート化合物)を主体として他の血液の成分のうち,合成できる物質を含めて人工血液としたのである。その後アメリカではClarkら(1966,1967)が弗化炭素化合物(FC)をヘモグロビンに代る酸素運搬体として動物に注射し,Geyerら(1968)も,この化合物の乳剤による動物の交換輸液の研究を発表した。日本では光野ら(1970)がアメリカの研究に続いて動物での交換輸液を発表した。みどり十字の内藤らと神戸大の光野らは共同して,このFCについての研究を続行し,人工血液といえば弗化炭素剤,すなわち白い血液を意味するようになった。しかし人工血液または人工血液代用液の研究は現在においても世界各国で盛んに行われているが,現在のところ,ヘモグロビン,キレート化合物,過弗素化合物(PFCs),人工赤血球に関してもそれぞれの問題点を残していて,未来への研究が望まれている。本綜説では,まず予備知識としてヒトの赤血球とヘモグロビンについて概要を記述し,次に上記の事項について展望しようと考える。
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