特集 ARDS
8.ARDSに対する非人工呼吸療法,薬物療法を中心に:過去,現在,未来―(1)ステロイドとその他の薬物療法
橋本 圭司
1
Keishi HASHIMOTO
1
1松江赤十字病院 麻酔科・集中治療室
pp.79-86
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100166
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する薬物療法として,過去にさまざまなものが試験されてきた。そのなかで,最も我々臨床医になじみの深いものとして,ステロイドが挙げられよう。比較的長い歴史があるにもかかわらず,ARDSにおけるステロイドの立ち位置はいまだ確立されていない。しかし,日本においては,このような長い歴史のせいか,ARDSに対する大量メチルプレドニゾロン投与(0.5~1g/日,3日間コース)という,いわゆる「ステロイドパルス療法」が,いまだに多くの施設で施行され,効果が認められると主張する医師も多い。
そうした現状を踏まえて,本稿では,ステロイドの歴史的背景ならびに最近の臨床試験の知見をもとに,ARDSに対するステロイド治療の現時点での位置づけを確認する。さらに,これまで臨床試験が行われてきた,ARDSに対するその他の薬物療法についても触れる。
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