特集 急性膵炎
6.動注療法に関するpro/con―(1)pro:膵局所動注療法は疼痛を改善し,予後も改善し得る
武田 和憲
1
Kazunori TAKEDA
1
1国立病院機構 仙台医療センター 外科
pp.655-662
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100094
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急性膵炎は軽症から重症,浮腫性膵炎から壊死性膵炎,感染性膵壊死まで,その病態は多彩である。重症急性膵炎は高次医療機関での治療を必要とする疾患であり,発症早期には膵虚血・壊死,ショック,呼吸障害,播種性血管内凝固(DIC),後期には膵壊死感染,敗血症がみられる。急性膵炎は膵臓内での膵酵素(プロテアーゼ)の活性化が出発点となるが,重症化すると膵虚血・壊死,膵周囲・後腹膜腔への炎症の進展がみられ,また,全身性炎症反応症候群(SIRS)や多臓器不全(MOF)を合併する。
重症膵炎には蛋白分解酵素阻害薬の投与が推奨されているが,これまで通常の経静脈的投与の治療では死亡率を有意に改善するには至らないとする報告が多く,欧米ではその有用性は否定的である1)。一方,蛋白分解酵素阻害薬や抗菌薬の経動脈的投与では,膵局所の薬物濃度が飛躍的に高くなるため,膵局所動注療法による炎症の早期鎮静化,壊死への進展抑制,膵感染の予防などの効果が報告されている。
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