特集 急性膵炎
5.蛋白分解酵素阻害薬に関するpro/con―(2)con:エビデンスのない高価な薬物を疑うことなく使ってはいけない
白井 邦博
1
Kunihiro SHIRAI
1
1岐阜大学医学部附属病院 高度救命救急センター
pp.645-654
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100093
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急性膵炎に対する蛋白分解酵素阻害薬は,本邦において,保険診療で認められている治療薬である。もちろん,筆者自身も支持している薬物で,日常診療において,急性膵炎の治療薬として,また,ERCP*1施行時の予防的投与に使用している。これは,筆者をはじめ膵炎治療に携わる臨床医が,“投与しないと治らないのではないか!”,“もし投与せずに悪化したら…!”,などの不安や,有効性への疑念はあるが,経験知として行っている治療法ではないだろうか。しかし,その臨床的有効性や,医療経済的な効果を示す客観的で明確なエビデンスは認めず,最近では議論になる機会もあまりない。
そこで本稿では,あえて急性膵炎に対する蛋白分解酵素阻害薬の投与に異議を唱える,conの立場で検証する。
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