徹底分析シリーズ —なるほどナットク!—ICUにおける人工呼吸—後編
PEEP/FIO2の設定方法—best PEEPとは何か?
片岡 惇
1
Jun KATAOKA
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
pp.260-267
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202859
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呼気終末陽圧(PEEP)は,呼気時に大気圧以上の陽圧をかけることで肺胞虚脱を予防し,酸素化や呼吸仕事量(WOB)を改善させることを目的とするものである。2000年代には急性呼吸促迫症候群(ARDS)の患者に対して高めのPEEPを用いる検討が数多く行われ,「ARDS=high PEEP」という印象が根付いたものの,2023年に発表された『ESICM ARDSガイドライン』1)には「死亡率改善を目的として,ARDS患者に高めのPEEPを設定するかどうか明確な推奨はできない」と記載され,ARDS患者における適切なPEEPレベル(best PEEP)はいまだ闇の中にあるといえる。
本稿では,ARDSを中心に,歴史的にbest PEEPの探求がいかに行われてきたか,さまざまな手法によるPEEP決定法,その中において臨床現場で実際にどのように設定すべきかを論じる。
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