Japanese
English
解説
分離換気とselective PEEP
Differential ventilation and selective positive end-expiratory pressure
高崎 真弓
1
Mayumi Takasaki
1
1島根医科大学麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Shimane Medical University
pp.623-630
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204882
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はじめに
急性の呼吸不全で重篤な低酸素血症に陥ったとき,positive end-expiratory pressure(PEEP)を用いた人工呼吸管理は,きわめて有効であり,広く臨床に応用されている。ところが,肺病変が片側に限局しているときや,両側に存在するが左右差のあるときにPEEPを用いると,低酸素血症が改善するどころか,かえって悪化することがあると報告されている1〜6)。
このような片側性の肺疾患で,人工呼吸管理を必要とするような患者には,ダブルルーメン気管支内チューブを用いて,左右の肺を分離し,患側肺にだけPEEPを用いれば,安全かつ有効であることは明らかである。左右の肺は完全に分離されるので,患側肺を健側肺から隔離することにもなる。また,患側肺の吸引や理学療法に十分な時間を費やすこともできる。1976年から多数の臨床報告がある3,4,7〜18)。本邦においても,1981年に著者ら19)がこの方法を紹介して以来,数編の報告がある20〜24)。ここで,片側肺疾患による急性呼吸不全のときの人工呼吸管理の1つの方法として,differential lung ventilationとselective PEEPについて解説してみたい。なお最近,Kvetanら25)が発表した片側肺疾患による急性呼吸不全の治療手順は参考になる。
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