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Anesthesia & Analgesia
Article:
Misra S, Singh S, Sarkar S, et al. The effect of prophylactic steroids on shivering in adults undergoing surgery:a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Anesth Analg 2023;137:332-44.
■シバリングは不快なだけでなく,合併症も起こし得る
周術期のシバリングは,患者にとって不快であり,痛みや出血を増加させる。全身麻酔後の5〜65%,脊髄くも膜下麻酔後には33〜60%の頻度でシバリングが起こるとされている。
シバリングは,低体温に対する生理的代償反応とされているが,そのメカニズムはもう少し複雑なようである。中枢性体温調節の変化,痛み,発熱物質の放出,サイトカイン放出による血管収縮の抑制と血管拡張の増強,組織損傷による炎症性反応が関与していることが示唆されている。シバリングが起こると,代謝率が上昇し,酸素消費量が大きく増加し,二酸化炭素産生量も増加する。そのためアシドーシスが起こることもある。交感神経系緊張やカテコールアミン放出増加により,心拍出量の増加や頭蓋内圧上昇が起こることも報告されている。血管手術患者では心筋虚血が起こることも報告されている。
シバリングの予防として,ステロイドが有効であるとされている。ステロイドは抗炎症作用をもつほか,血管収縮物質やサイトカインによる発熱物質の放出を抑制するとされている。しかし,その臨床的効果についての研究結果は一致していない。
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