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Anesthesiology
Editorial:
Khemani RG. Fluid balance:another variable to consider with diaphragm dysfunction? Anesthesiology 2022;136:672-4.
Article:
Ijland MM, Ingelse SA, van Loon LM, et al. Early restrictive fluid strategy impairs the diaphragm force in lambs with acute respiratory distress syndrome. Anesthesiology 2022;136:749-62.
■ARDSの治療戦略の基本は肺保護換気と水分制限
急性呼吸促迫症候群(ARDS)の治療では,人工呼吸中の肺保護換気など,肺を保護する戦略がとられる。また,成人ARDS患者の輸液管理では,水分を制限した管理をすることが弱く推奨されている(日本集中治療医学会/日本呼吸療法医学会 ARDS診療ガイドライン作成委員会.ARDS診療ガイドライン2016.日集中医誌 2017;24:57-63)。そのエビデンスの確信性は「高」とされている。水分摂取制限により,死亡率の低下は認められないものの,肺機能は維持され,腎代替療法の増加は認められないとされている。人工呼吸器使用日数の短縮も期待される。輸液過剰では,人工呼吸器からの離脱が遅れるという報告もある。人工呼吸器からの離脱に際しては,肺機能,ガス交換能だけでなく,横隔膜を含む呼吸筋力も問題となる。人工呼吸による横隔膜の萎縮や横隔膜機能不全についても注目され,超音波法を用いた横隔膜の厚さの評価も行われている。
Ijlandらは,小児ARDS患者に制限輸液戦略(restrictive fluid strategy)をとると,自由輸液戦略(liberal fluid strategy)をとった場合と比較して横隔膜機能がよりよく維持される,という仮説を立て,子ヒツジを用いた動物実験で証明しようと試みた。
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