徹底分析シリーズ 術中の輸液管理—自信をもってできていますか?
巻頭言
五代 幸平
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 侵襲制御学
pp.1181
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202730
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- 文献概要
術中輸液管理は,すべての麻酔症例で必要なものである。しかし,自信をもてない若手麻酔科医は多いと思う。それは輸液管理についての明確な正解がないからであろう。輸液量に過不足があっても,(重症症例でなければ)患者自身の代償能で循環血液量を調整してしまう。その結果,麻酔科医が行った輸液管理が適切なのかを評価することが難しい。だからといって輸液管理をなおざりにすれば,重症患者では合併症につながり,術後の回復にも影響する。また,術中の輸液管理と救急集中治療領域での輸液管理は異なる。ここで麻酔科医に必要とされる姿勢は,個々の患者に対する“最適”な周術期管理を追い求めることである。さまざまな状況に適切に対処するためにも,普段から術中の輸液管理は基本的理論にもとづいて行いたい。
本徹底分析シリーズでは,前半で術中輸液の基本的知識を解説している。同じ量・同じ種類の輸液を行っても,患者の状況次第で血管内に残る容量は異なることがよく理解できるだろう。後半では,それらの知識を用いて,同一症例に対して具体的に輸液管理計画を述べている。同じ症例に対しても,何を重視し何を指標にするか,さまざまな“最適”があることを理解してほしい。そして,本特集によって,読者も根拠と思考に根ざした輸液管理が行えるようになることを期待している。
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