徹底分析シリーズ 術中の輸液管理—自信をもってできていますか?
周術期輸液の生理学—“常識”を疑え
多田羅 恒雄
1
Tsuneo TATARA
1
1兵庫医科大学病院 手術センター
pp.1182-1187
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202731
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輸液の“効果”は,目に見えない。だから,これまでこんな“常識”が生まれた。
「麻酔導入後の低血圧に対し,大量の輸液をする」
「大手術では,サードスペースへの移行量を加算して輸液量を決める」
「出血に対し,晶質液なら3〜4倍,膠質液なら等量を投与する」
近年の輸液に関する研究により,これらの“常識”をそのまま実践している麻酔科医は減っていると思う。しかし,麻酔管理を始めたばかりの研修医から,「教科書にはこう書いてあります。これのどこがおかしいのですか?」と質問されたら,読者はどう答えるだろうか。残念ながら,循環血液量をリアルタイムにベッドサイドで測定することができない現在,明確に答えるのは難しい。
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