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Anesthesiology
Editorial:
Todd MM, Kopman AF. Sugammadex is not a silver bullet:caveats regarding unmonitored reversal. Anesthesiology 2023;139:1-3.
Article:
Bowdle TA, Haththotuwegama KJ, Jelacic S, et al. A dose-finding study of sugammadex for reversal of rocuronium in cardiac surgery patients and postoperative monitoring for recurrent paralysis. Anesthesiology 2023;139:6-15.
■筋弛緩薬効果残存のリスク
筋弛緩薬拮抗の主な評価法として,以前は頭上げ,肺活量,握力など,臨床的評価が用いられていた。しかし,その後,四連刺激法を中心とする神経筋モニタリングの発展により,臨床的指標による筋力回復評価の信頼性は低いことが示された。筋弛緩薬の拮抗の評価に四連刺激法を用いた場合,四連反応比train-of-four-ratio(TOF比)が0.7より大きいことが推奨されたが,咽頭筋や他の骨格筋の筋力回復は十分ではないことが示され,現在はTOF比を0.9よりも大きくすることが推奨されている。作用持続時間が比較的短いロクロニウムやベクロニウムが挿管時のみに用いられた場合は,拮抗薬を投与しないことも多いことや,スガマデクスを用いるにしても200mgなど固定した量を投与することも広く行われており,術後の筋弛緩効果の残存が問題となっていた。
筋弛緩効果の残存により,舌根沈下や上気道閉塞,誤嚥,低酸素血症や高二酸化炭素症を起こすリスクがある。そのため,TOFカウントが2発以上であればスガマデクスを2mg/kg,TOFカウントが2発未満であり,テタヌス刺激後カウント(PTC)が1以上であればスガマデクスを4mg/kg投与することが推奨された。また,日本麻酔科学会の「安全な麻酔のためのモニター指針」も2019年3月に改訂され,筋弛緩のチェックについての項目では,「筋弛緩薬および拮抗薬を使用する際には,筋弛緩状態をモニタリングすること」という一文が追加された。しかし,神経筋モニタリングの方法や,評価法についての詳細な記載はない。
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