徹底分析シリーズ TTEを使いこなそう
巻頭言
中澤 春政
1
1杏林大学医学部 麻酔科学教室
pp.941
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202346
- 販売していません
- 文献概要
多くの麻酔科医にとって,経胸壁心エコー(TTE)は「画像や記録用紙を目にする機会は多いが,自分自身で実施することがほとんどない検査」であろう。その最も大きな理由は,TTEの画像描出に苦手意識があるからではないだろうか? 筆者自身も数年前までは描出に自信がもてず,TTEを避けていた。しかし,実際にTTEを行ってみると,少しのコツさえつかめれば,ほとんどの患者できれいな画像を描出することができ,また短時間で多くの情報が得られることを実感する。循環動態が不安定な患者に対する麻酔導入前の心機能評価や,術中低血圧時の循環血液量などを数分で確認することができるのである。循環動態が刻一刻と変化する周術期管理において,短時間で心機能を評価し,循環管理の方向性を決定できることは,これからの麻酔科医にとって必須の技能である。
そこで,今回の徹底分析シリーズでは,循環器科医による正確な診断のためのTTEではなく,周術期管理の方針を決めるためのTTEという視点から,それぞれのエキスパートに基本的な描出の方法と,術前評価,術中管理,ICUにおける実践的な活用方法に関して執筆していただいた。
近年の末梢神経ブロックの発展で,多くの手術室に高性能な超音波装置が配備され,プローブを取り換えるだけで,関単にTTEを施行できるようになった。あとは実践あるのみである。多くの読者にとって,本特集がTTEを手に取るきっかけとなれば幸甚である。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.