症例検討 腰痛
巻頭言
三浦 邦久
1
1江東病院 麻酔科
pp.149
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200780
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- 文献概要
腰痛は,日本人の約70%以上が経験するといわれ,日本人が抱える健康問題で最も頻度の高い症状です。平成25年厚生労働省「国民生活基礎調査」性・年齢階級・症状(複数回答)別にみた有訴者率によると,第1位が腰痛,第2位が肩こり,第3位が関節痛で,運動器の痛みやこりが上位3位を占めています。年齢が上がるごとに増加する傾向がありますので,超高齢者社会になる日本では,今後さらに多くの人にみられるようになるでしょう。業務疾病に占める割合も腰痛が最も高く,平成27年において全体の約60%を占めています。その発生業種も小売業,製造業,運輸交通業と多岐にわたりますが,特に保健衛生業で30%と多発しています。看護や介護などでは,不自然な姿勢をとったり瞬間的に力を入れたりすることが多いのでしょう。手術室でも思い当たる節があるはずです。
平成28年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定され,疾病を抱える労働者の治療と職業生活の両立支援対策が職場に求められるようになりました。各企業は,腰痛予防のために厚生労働省が平成25年6月に改訂した「職場における腰痛予防対策指針」にもとづいて対策を行っています。そして,麻酔科や救急部などの責任者は,少なからず勤務評定や休業補償書類に捺印したりしているはずです。本症例検討は,ペインクリニックで腰痛患者の治療にあたっている方に役立てていただくのはもちろんのこと,手術室で勤務する麻酔科医にも熟読していただいて,腰痛をきたす病態を理解し,常日頃から自身による予防法を考えるきっかけとしてください。そして,腰痛治療後に職場復帰する仲間のために,職場環境を整えてください。
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